「ふわっとまとう」

大分前の話だけど、フランスの高級ブランド化粧品のメークアップアーティストさんに、メークしてもらう機会があった。

普段ノーメークなので、気分はデコレーションケーキ。下地にコンシーラ?塗って、少しずつ色を変えたファンデを塗って・・・みたいな。で、仕上げは、マスカラ2段重ね(当時、エクステは、そこまで流行ってなかった)とインラインとシャドウなんて。メークアップアーティストは、ケーキの仕上げもきっと上手だろうなと思った。

でも一番記憶に残っているのは、そこじゃない。最後の最後だった。

メークが終わり、椅子から立ち上がったら、その女の人が言う。

「この下をくぐってください。」彼女は大きな瓶に入った香水を天井に向けてスプレーした。

「はい、どうぞ。」

見えないけれど、香りが降り注ぐ中を、ゆっくり通り抜ける。紫色の重そうなガラスの瓶を見るだけで、甘くて濃い香りだと想像がつく。自分だったら普段は手にも取らないだろう香水。でも空気中を漂った香りは、その香水そのものだったけど、ほんのり甘く、意外なほど丸かった。

「ふわっとまとうのがいいんですよ」

売れっ子メークアップアーティストは、口も上手だ。とても美人で雰囲気もあり、それは人気あるだろうなあ。

今、思い出すと、ふわっとまとう、って何?

ヨガは生活の質を上げるための知恵だと言う。「ふわっとまとう」ことも、その一つかも。

素朴なご飯でも、丁寧に作る。スマホを見ながらではなく、誰かと喋りながら食べる。いつまでも話が終わらず、いつになっても片付かない。ブログ記事の作成もいつも楽しくやりたいよね。晴れた日に外で洗濯ものを干したら、ふわふわに乾いたときには、すぐに顔を埋めたいくらいの太陽の匂いがする。こんな生活が当たり前だったら、無理に頑張って質の高い生活をしよう、なんてことすら考えもしなかっただろう。

残念ながら現実は違うので、質の高い生活を求めて、もちろん努力もした。だけど着いたところは似て非なるところだった。

「昔ながらの」と書かれた美味しいものだって、食べ飽きたら、次の美味しいものに。音楽はネットで簡単にダウンロードできる。ホテル仕様のバスタオルは柔軟剤仕上げでふわふわね。

足を踏み入れることのできない場所だって、ドローンが撮ってきた写真を見れば、何でもわかる。自分で出かけたって、インスタグラムにアップするために、写真を撮るだけなんだから、もう行かなくたって同じなのだった。

「これが欲しい、あれが欲しい、ニセモノでもいいから」じゃなくて、「大きな声を出さないと聞いてもらえない」じゃなくて、「こんなの、もう飽きた」でもなく、ふわっとでいい。

夜、その香水を耳たぶに付けて出かけるのも素敵だろう。だけど、空気に溶けて、ふわっと下りてくるのでもいい。それでも、「あ、あの香り」と、私は、多分あなたも、思い出せるはずだから。

さて、メークをしてもらった後、普段を知っている人たちは、あまりの化けぶりに唖然としていたけど、私が一番びっくりしたって。眼鏡をかけて、よく見たら別人だもん。目なんて2倍くらい大きくなってた。ちょとしたネタになって、「皆さん、和んでいただけたら、こんなにうれしいことはありません」なんてね。

投稿者:

kei

K YOGA STUDIO 表参道 : 毎日忙しく頑張る人専用ヨガスタジオ。予約不要。平日の朝ヨガで変わりませんか。  Kei →ブログ、HPなど、書く方面(&月曜朝ヨガ)を担当。 K YOGA: Sun-filled yoga studio in Omotesando for busy office workers. All drop in, reservation not required. Let's enjoy morning yoga! Kei -> Monday morning yoga instructor, also writes web and blog.

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